2012/06/15

FAQ『作曲家って』

( Sorry, today only in Japanese / Désolée, seulement en japonais aujourd'hui ) 


よくある質問で『作曲家って、制作の対象になる楽器は全部演奏できるんですか?』というのがありますが、答えはNOです。(あ、勿論探せばありとあらゆる楽器を演奏できる全知全能タイプな人もいるでしょうし、逆に自分の楽器の曲しか作らない人もいます。)
一応建前としては、自分で弾けない楽器についても奏法・音域・音色などの特徴をひととおり勉強し、経験を積めば書ける、ということになっています。 


私はもともとピアノ弾きで、中学・高校時代に吹奏楽部に所属していたので、鍵盤と木管楽器はだいたい様子が分かり、担当していたオーボエ(+サックスとクラリネットも短期間)ならある程度は演奏できます。
トランペット、ホルンなどの金管楽器は同じ“吹く”楽器群だから、息がどのくらい続くかは想像できるし、仕組みもそう複雑ではないので問題ないけれど、実際に『じゃ、吹いてみて』といきなり楽器を手渡されてもたぶん音は出せません(笑)。
ヴァイオリン、ヴィオラなどの弦楽器、またハープに関しては、音が鳴る・鳴らないどころか、大学に入るまで触ったこともありませんでした。今では音域や運指、それぞれの奏法による音色の違いなど、諸々必要なことは頭に入っていますが、やっぱり弾けません。
知ってるけど弾けない、とはどういうことか。たとえば、フィギュアスケートなんかを想像していただいて、こっちの足でこのタイミングで踏み切って着地がこうだと2回転アクセルだとか、手がこの位置にあったら〇〇スピンだとかが知識としてあり、スケート靴履いてリンクに立つことくらいはできても、普通の人はいきなり3回転ジャンプはできない(と思う)。そういうのに近いかと。 

個々の楽器について理解できたら、次は管弦楽法(オーケストレーション)。それぞれ違う楽器が様々なパターンで組み合わさったときにどうなるか。
具体例を挙げると、トランペットとフルートが中音域で全く同じメロディーを吹いたら、音量で勝るトランペットがフルートの音をかき消してしまう、という状況に於いて → フルートは高音域で存在感を増すので1オクターブ上げる、という対処法を持ってくるようなものです。
ちなみにこれが80人規模のオーケストラになると組み合わせパターンの可能性も半端ないことに。ま、そこが大編成アンサンブル作曲のおもしろいところでもあるのですが。

と、ここまでの流れから『やはり自分に馴染みがあって弾ける楽器の曲が書きやすいです』という結論に辿り着くかと思いきや、
私自身はピアニスト出身のくせに、というかむしろ元がピアニストだからなのか、実は長年ピアノ曲の作曲が鬼門でした。
理由は簡単、ずばり『考え過ぎ』。これ指届くかなー、弾けなくはないけど弾きづらいなー、この跳躍は外すリスク高いなー、譜読みに骨が折れそうだなー、etc… 弾く立場がリアルに想像できていちいち雑念が入り、音楽的欲求と技術的問題の板挟み状態に。他の楽器だと『難しいかな…うーん、でもなんとか弾けるでしょ。頑張って〜』と、自分にお鉢が回ってくることは絶対にないから無責任に丸投げできる演奏者を信じて自由に創作できるのに。なかなか厄介なものです。
このままでは不味いと思い、
・自作自演はしない
・作曲時にピアノを使用しない
以上二点をしばらく徹底して、昨今は苦手意識がだいぶ薄れつつあります。
あと、これは別の意図もあってのことですが、ここ1年半ほど内部奏法を禁じ手とし、俗に言う“現代音楽っぽい特殊な音”に頼らなくても使える語彙を増やすよう心懸けています。 


ふと、このところ編成にピアノが入った作品が続くな、なんて思い、こんな話題で書いてみました。

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